野村萬斎さんが2020年東京オリンピックパラリンピックの開閉会式演出の総合総括責任者に就任されました。
200年以上続く伝統芸能の家系を受け継ぐ立場の萬斎さんはそれだけにとどまらず、現代演劇や映画、テレビなど多様な分野で古典と現代を融合させる試みをしています。
能が鎮魂とか供養の為の演劇であると最近知ったのですが、戦争や災害などいろいろな事で深く傷つけられたものに対する癒しや復興、再生という事を日本の伝統芸能は常に考えて来たのです。そしてその「鎮魂と再生」を五輪演出のイメージとし、伝統から最先端まで、日本の手法や発想をいかんなく発揮したものにしたいと萬斎さんは語ります。
梅若玄祥さんがギリシアの円形劇場でギリシャ人の演出家による新作能を上演した時観客はかたずをのんで能に見入り、自分たちが失ったものが日本の文化の中にある、日本に行ってみたいという子供もいました。ギリシャ人の演出家は明治神宮が大好きで、その佇まい、雰囲気、神殿はギリシャに似ているしギリシャが失ったものがここにあるとまで言っているのです。
昨日のゲストはラトビアからのカップルでしたが、オリジンはロシアで、ITエンジニアの旦那さんはいろいろな事に関心を持つタイプ、舅の昔の下駄を履きたいと持ち出し、木にとまった蝉の写真撮ったり駅にあったジャズフェスティバルのチラシスマホで撮ったり、寿司が好きで明日は寿司メイキングの体験に行くというし、とても自由な動きをしていました。175㎝の綺麗な奥様はサイコロジスト、真っ赤な口紅を何回も塗りなおしながら、選んだ浴衣はモスグリーンの麻の葉模様の渋いもの、それにグレイの帯締めて、たったかたったか早く歩きます。帝釈様の池の鯉を見て蒸し焼きにするとおいしいといった人ははじめてでした。三重塔、五重塔、十三重の塔について質問され、うー,答えられませんでした。
もう一組は横須賀で暮らすミネソタ生まれの海軍の旦那さんとプエルトリコ生まれの奥様キキ、何とマイカーで到着うちで念入りにメイクアップ、もう一人中国のナンちゃんが加わり、総勢五人の個性強いゲスト軍団でした。
暑いせいもあり、なるべく補正もしないようにしているので、着付けに関してはいろいろ問題ありですがまあ目をつぶることにしています。キキは超グラマーでどうしても胸が見えてしまう、でも扇子で何気に隠しながら写真撮り、持参した御朱印帳を自分でお坊さんのところまで持ち込み、書いてもらっていました。
危険な暑さなので日本人は外へでないから、参道には外国人がちらほらいるだけで、キキはスペイン人の観光客と話しているし、団子屋さんでアイス団子食べながらかつ丼の説明に私が詰まっていたら、隣の席の日系のお客さんが英語で説明してくれたり、柴又もこんな風に国際的に進んで行った方が面白いんではないかと思います。
フランスとドイツのハーフの知り合いのお兄ちゃんはとうとう柴又にアンティークの着物のお店だすし、皆さん活発です。
萬斎さんも日本人だけど感覚は国際的だし、かつ日本伝統が身体に染み付いている、その彼がトップにたって各分野の第一人者と作り上げるであろうものは何なのでしょうか。
鎮魂と再生。
オリンピックまであと二年。
私は柴又でゲストたちと過ごしながら、それが何であるかを考えていきたいと思っています。