コンタクト   contact

 朝早く、ちょっと古い旅番組を見ていたら、関口知宏さんがオーストリアを列車で横断していて、たまたま知り合った貴族の末裔に彼の城のような住居に案内されていました。第一次世界大戦後衰退してしまった貴族制度ですが、その子孫たちはコンタクトという言葉をたくさん発しながら自国を語り、通りすがりの日本人の旅人とでさえしっかり接触しコンタクトを取っていました。難民がたくさんあふれボランティアの人々が食糧の入った袋を配っているウィーン駅の様子を見ていた関口さんはしばらく絶句していましたが、そばにいたオーストリア人の男性は「我々はみんな受け入れるんだ」と言っていたし、重厚な歴史的建造物のそばでユダヤ音楽を奏でていた音楽大学の学生たちの民族は全部違うし、たくさんのいろんなものがまじりあって動いている国なんだということだけはわかりました。

 深刻になれということでもないのだけれど、とにかく潮の変わり目のような世界情勢の真っただ中で、どう軸を定めたらいいのか、いつも考えています。最近谷中の地域が外国人交流に積極的で町ぐるみ協力し合ってもてなしているのをテレビで見ましたが、エアビーの着物体験でも根津神社や谷中銀座を回っているホストの評判がとても良くて、力量的にかなわないなと思っています。谷中は好きでよく行っていますが最近はちょっとわさわさしている感じがあるし、それこそ外国人がたくさん歩いていますが、そこで私が着物着せてホストできるかというとそれは無理で、となるとやはり私のテリトリ―は柴又でした。暇は暇で仕方ありません。もう少しじっくり考えましょう。

 ドイツ語講座聞いていて、あと帝釈様の庭園でじっと静かに座っているドイツ人カップルとかを見ていて、着物着て写真撮ったりすること好きではない方もたくさんいますし、最近高野山がフランス人に人気で観光客が多い京都よりも、日本らしさを感じられるし思い描いていた日本の原風景だそうです。

 オーストリアを旅していた関口さんが日本観光してきた若いカップルと話していて、城崎温泉の旅館の朝食以外はみんなよかったと言ってるの聞いて大笑いしていましたが、(朝からアジの干物にご飯は食べられない!)でもそんなに違うからアジアに行くのだそうです。今は私は本当におもてなしする側なのですが、いつか旅行するとしたら今までとは全く違う感覚で外国にいくのでしょうし、関口さんのようにおびえながらやってくる難民の方々にあったらどうするのかとも思いますが、エアビーの体験をやってきて、今私に何ができるのかということは常に考えているでしょう。こちら側からいろいろ提供し体験してもらうのがコンセプトではありますが、私の場合圧倒的に相手から与えられるインパクト、雰囲気、考え方、佇まいを受け取る方が大きい、去年の夏来た方々のことを強く思い出します。今はその時のコンタクトをしっかり残しておく時なのかもしれません。