連日の暑さが少し和らぎ、聞こえてくる雨音を静かに聞きながら朝を迎えるのは久しぶりです。隣家のおばあちゃまが施設に入られてからお庭の植木の調子が良くなくて、茶色に枯れてたくさん落ちる葉を毎朝掃きながら、不思議な気持ちでいました。施設に面会に行った方が、みんなが良くしてくれて楽しいけれど、家のことが心配で帰りたいと言っていると教えてくれたことを思い出し、多分もう戻ることは無いであろうことが木々たちにもわかっているのだろうと感じています。
暑くなる前に夫とゴルフへ行った娘婿が、一緒にお風呂に入った時夫のあまりの痩せように驚いて、心配して心配して娘に何か食べるものを送れと指示して、岡山に長期出張している娘からフィレステーキが届きました。手を変え品を変え何とか食べさせようとしているけれど、入れ歯の調子が悪いのは致命的で、暑さもあって好きなものを少ししか食べないからどんどん体重が落ちていきます。いろいろ調べても病気は見つからず、夜も冷房を入れてすやすや寝ているので、体重があって沢山食べていた時より体の数値は良いけれど、心底心配してくれる娘婿のためにも何とか太らなければいけないよと夫を叱咤激励していると、涼しくなった夕方元仕事仲間の方がお中元を持って来て下さり、二人で近所へ食事に出かけました。奥様を4年前に亡くされ、最近は体の調子も悪いけれど賭け事が好きで良い事も悪い事もあっけらかんと笑いながら話す人の好いおしゃべりなこの方と一緒にいて、私はとても幸せな穏やかな気持ちになり、帰ってきた夫が刺身定食と串カツを食べておいしかったというのを聞いて、人の与えるオーラというものは今の世の中とても大事だなと気が付きました。
私が膝が痛かった時器具を持ってマッサージして下さった方がスイカを持ってきてくれ、ご主人も具合が悪いけれどいつも明るく、いろいろな話をしながら大笑いしていく姿を見送りながら、辛いこと苦しいことがあっても、それを乗り越えて他人のことを考えてくれるということが、どんなに周りの人間の励みになるのかとまたまた感じていました。明日は何が起きるかわからない。でも相手が与えてくれる心の波動の温かさは、生きていく時の励みになり、支えになることは、今まで来たたくさんのゲスト達との触れ合いの中でいつも感じていることです。一生の思い出になったとレビューに書いてもらうことがあるとどうして?と思っていたのだけれど、心の中に大変な思いをして生きてきた人のネガティブな感情は、相手のネガティブな気持ちと掛け合わさった時プラスの清々しいモティベーションになっていく、相乗効果になるのでした。
手塚治虫さんの漫画ブッダには、悟りを開き皆に教えを広めていた最晩年のお釈迦様が、最後までいろいろ悩み尽くしている姿が描かれ、自分が考えてきたこと、行ってきたことがすべてであるから、最後まで怠りなく精進しなさいと最後の言葉を残して旅立つ姿が描かれています。永遠の安住の地は無くて、最後まで悩み惑うけれど、そういう思いをして来た人々とのあたたかい触れ合いや想いこそが救いだった。点と点が結びつくと線になり、線と線が結びつくと面になる。何がいい事か悪い事か全くわからない混沌とした世界の中で、今は一つ一つの点を大事にしていきたいのです。最後の最後までが自分との戦いである。やれることをきちんとたゆまずやっていこう。
皆さんの思いに包まれていることが、どんなに励みになり嬉しい事か、こんなに感じられた日はありませんでした。