Evidence

 26歳で整骨院が家業のいえに嫁ぎ、スタッフの世話から受付、雑用をこなしてきて、全盛期があり、それからだんだん衰退して行く様をずっと見ていた私は、65歳とまだ仕事ができる年齢の夫が仕事を辞めた時随分ほっとしました。その後実母が骨折して入院し手術した後のリハビリやアフターケアを見ていて、整骨院ではもう太刀打ちできないと秘かに思ったけれど、今回膝をひどく痛めても整形に行くのはどうしてもためらわれ、しばらくシップだけで様子を見ていました。

 意を決して行った駅前の医療モールの中の整形は近くて本当に便利で、レントゲンを撮って膝の水を抜き、ヒアルロン酸注射を一度してから、あとはリハビリで正しい筋肉の使い方を教えてもらっています。十台くらいのベッドに近隣の方々が横になり、若い理学療法士さんたちが一生懸命説明しながら筋肉の使い方をレクチャーしている姿は壮観で、電気の器械をあてている人もいらして、私はなんだか妙な気持ちになりました。

 整骨院をしていた頃膝関節症で通ってくる患者さんは多く、低周波で患部を刺激し温め、マッサージし、マイクロ波をあてるという治療をしていたけれど、治らない方もいて、今思うと痛い方の足だけではなく全身の正しい筋肉の使い方を学ばなければ治癒しないということが欠けていた気がします。私より年配の方がスムーズに足の曲げ伸ばしをしているのを見て、負けてはいられないと思いながら聞く、理学療法士さんのアドバイスは今日は左の臀部の筋肉が弱いということで、膝を痛める前も仕事をした後は左足が猛烈に攣ることが多かったことを告げると、そこから他の筋肉に負担がかかり痛みが出ると言われました。

 こういう話を夫や同じ年代の同業者の方に言うと、そんなことは当たり前で昔からそういう治療をしていると笑われるのだけれど、古くからやっている事と現代の新しいやり方とをミックスし、そして常に多方面にアンテナを巡らして学び取り入れ、正しい努力をしている人が頼りになると強く感じています。今回都知事選で新しいタイプの若い候補者がムーブメントを引き起こしたのは絶好のタイミングで、悪しきマスコミやフィクサーが潰そうと暗躍しているということはかなりの脅威であるのだろう、正しい道筋を通るということはもう人間の能力、才能、思考、そして人間性にかかっているということが明らかになり、彼に賛同し共感を示すいろいろな分野の優れた若者たちが呼応してきているのです。彼らも悪しき手に叩かれるけれど、そんなことに屈しない強い思念を持っていないとこの濁流から抜け出ることが出来ません。

 最近成田悠輔さんのユーチューブをよく見るのですが「エビデンス」について語っているのがあり、私は意味が解らず調べると「根拠」と出ていました。昨日の日経新聞の一面に政府の硬直的な政策、前例主義の甘い見通しによる事業で無駄を膨らませ、事後検証もおざなりのまま、急速な人口減で財源の先細りは避けられない、確かなエビデンスに基づく政策づくりが根付かなければ国の傾きは止まらないとあって、じっくり読むと、少子化で保育園の入所者が少なくなり地域によっては増やした保育所の4割が余っているというのです。

 コロナ前に保育園を経営している組織がテナントを探していて、国の補助も受けられるから大々的に改装して0~2歳児の保育所にしたいと打診してきたことがあり、私達は地域が必要としているならそれもいいのかなと乗り気になったけれど、外階段を壊せと言われた時これはまずいと感じ、結局話はなくなりました。それからコロナ禍になり、生活がもとに戻ってもこのようにいろいろな問題があったとわかった時、何も動かずにいて本当に良かったと思うのです。エアビーの仕事をしていた私もコロナ禍では国の補助金を受けられると税理士さんに教わったけれどもらわずにいたのは、義父が「国のやることはあてにならないから信じるな、自分の力で自分で考えて進め、それでも何がいいか悪いかは最後までわからない」と言っていたことが心に残っているからなのです。義母が入院した時に私は義父の世話をしていて、夫もいない時は義父と二人でお酒を飲みながら話を聞いた期間が在って、子供たちも義父の存在が疎ましいことが多かったけれど今となっては良い言葉だけが心の中に残っているようです。

 新聞の囲みの説明欄に、「根拠に基づく政策づくり」Evidence based policy making EBPMとは統計データなど確かな証拠を支えに政策の目標を定めたり効果を検証したりする取り組みを指し、場当たりの判断や曖昧な慣例に頼りがちだった旧来の行政に比べ、透明性が高く、国民の信頼向上にもつながるとの期待があると書いてありました。進路を決めるのは確かなエビデンスだと結んである記事を読みながら、英語教育にしてもどれだけ学ぶかでなく、自分の使おうとしているコミュケーションとしての英語がどんなものであるべきか、最終的には心と心で英語を話したいならば、翻訳機能もAIも、補助でしかなくなるという成田さんのユーチューブの会話を聞いていて、納得しています。

 昨日マーガレット・サッチャーさんの映画をテレビで放映していて、予約料金を戴いたまま来ていないホワイトハウス関係のゲストがもしいらした時、政治的知識や用語がわからない私はかなり困るので、録画して後で見ようと思ったのですが、ゆっくりしたわかりやすい英語で、本当に助かります。1200人の外国人に着物を着せて柴又を案内してきた私の体験のエビデンスは、何だろう、そこからどこへ進もうとするか。エアビーのサイトの文章を変えます。今表に出てきた若い能力ある方々の非常にストレートな意識や思いや考え方が面白いのです。この絶体絶命ぽかった東京都知事選挙に出てきた石丸さんの存在と意義はとても大きい。

 リハビリの意義、何に視点を置いて何を直していくか、意識の持って行き方の提示、根拠。ここにもエビデンスが出てきます。

 七月の空白は必要だった。新しいツールで、古いものを学び直し、心地よい空間をつくる。ここへ来たら解答がある、前に進んでいく人がいる、エネルギーが満ちている。暑さに負けず頑張ります。