グローバル リテラシー  国際対話能力  

 今日は一日激しい雨が降るとのこと、午後は荒れ模様だそうで、気温は高くないけれど窓は開けられません。昨日病院へ行っておいて良かった、とりあえず毎朝血圧の薬を飲むだけで、安心していられます。

 山中俊之さんの本を読みこみ、宗教と民族についての感覚を研ぎ澄まさなければなりません。私達高齢者の意識や能力が落ち切っていてはいけないのです。山中さんは42歳で外務省を退職し、民族や宗教の分断を防ぎ、お互いの相互理解を深め、世界を変える、グローバルリテラシーのある人材を育てたいと新しい事業を立ち上げました。激動の時代における判断の軸の重要性、社会を変えるイノベーション(革新、変革)を創出する力を養うためには、世界の宗教を学んで世界情勢を読み解くための視点を得ること、そしてそれが世界の今後を考える際に大きな指針の一つになる、教養の土台だと彼は言うのです。

 ゲストが来て、着物を着せて柴又の寺へいき、仏教彫刻を見ながら宗教について、美術について、文化について話し合うことをしていると、時に物凄い深い話になることがあります。反対に全く関心がなくてスルーする場合もあり、彼らの関心の度合いや性格やモチベーションが大きな分かれ目になるのだけれど、厳しい状態に置かれている香港のゲスト達は、真剣に彫刻を見ていました。雑談は教養であるという文が山中さんの本にあり、ドイツの建築事務所で働いていた若い優秀な日本の女性が、仕事をしている時は良いのだけれど、休憩タイムに入ると途端に話題がなくなるとこぼしていたことがあり、反対に年を取ると肝心な仕事の話は出来なくても、雑談ならいくらでもできるし、前に来たゲストのエピソードなどの話はそれこそ尽きることがないのです。拙い英語でも、異分野異文化に興味を持ち、突っ込んで話していると、それこそ言葉の壁をひょいと超えてしまう瞬間があり、言っている内容はわからないのに何を思っているのかわかる、特に辛さや痛みや苦しさの感覚を持っているゲストの気持ちの根底にある悲しさみたいなものは、拭い去ることはできなくて、ずっとそこにあるものなのだといつも感じています。

 外国人と宗教の話はしないという方もいるけれど、柴又がテリトリーであり、家の中の仏壇や神棚もゲストに見せる私は、直接あなたの宗教は何ですかと聞くことが多いのです。山中さんの本に、宗教こそ教養の大きな土台の一つだとあり、Religionとはラテン語のReligioが語源で、Re再び ligioつなぐという意味を持ち、神と人間を再びつなぐという意味で、宗教とは神または人智を超越した存在を中心として、教義や戒律を定めたものと定義できる。世界の様々な社会で、人の立場に立って考え行動するには、その社会の歴史や文化、価値観を知ることが極めて大切で、この基底にあるのが宗教であるとするなら、いろいろな国から来る若いゲスト達が親たちは教会へ行っているけれど、自分たちは何も信じていないということは親が子に宗教観をきちんと伝えられることができないという事実を示しているような気がします。

 ゲストを柴又のお寺に連れていていろいろ説明していると、あなたは仏教徒ですかと聞かれることが多いのですが、そうだと答えた後で、でもお正月は神社で初詣をし、キリスト教徒でなくても教会で結婚式を挙げ、クリスマスを祝い、葬式は仏教で行うと、やや自嘲的に私はフォローします。

 そんなことを言いつつも、相手の国の歴史や文化、宗教、言語などについて最低限の正確な知識を持ち、相手の価値観に合わせて会話をブリッジすることは、とても大事なことで、世界の様々な社会や人々の思考、価値観を理解して、ブリッジする会話をベースに関係を構築していく能力を「グローバルリテラシー」と呼び、教養をもとに共感力を高めていく能力と言い換えても良いのだそうです。

 九月に来るクウェートのDr.モハメッドのためにアラビア語やペルシャ語を少し覚え、イスラム教についても調べておこうと思いながら、台風で買い物に行けなかったのであり合わせで夕食を準備しました。冷凍餃子を焼きながら、油も使わずただフライパンに入れて焼けるなんて、どんなものがコーティングされているかわからないとネットで見た記憶が蘇ったのだけれど、便利だし夫が酒のつまみに食べ、私も久しぶりに食べたのですが、夜お腹が痛くなって下痢をしました。最近添加物の入ったものを食べなくなり、菓子パンもジュースも加工肉もスナック菓子も買わなくなって、シンプルな食生活をしているけれど、身体が夕食に食べた何かを受け付けず排出してしまったのかもしれません。とても恐ろしい世の中になっている実感があります。

 スマホのユーチューブをずっと見ていると、連続して流れる画面の記憶が途絶えてしまうことに気が付き、読書だったらずっと覚えていられるのに、もしかして何かに洗脳されているような恐怖を覚え、いろいろなものに注意しないといけないと改めて思うのです。最近少数精鋭でホワイトハウス関係のゲストとか、緊張するジャンルのゲストの予約が入ってきます。ボケた頭では対応できません。節制して集中して、しっかり勉強し進化していこうと思っています。