トライアスロンカップルが10日に来てからずっと予約が入っていなくて、あまりに暑いし病院通いばかりしていたら、前の電器屋のおじちゃんに「ゲストが来ないと淋しいね」と言われてしまいました。二週間ぶりに入った予約はウガンダからの家族で、50代のパパはデンマーク人、ママはウガンダ人で19歳の可愛い娘さんも一緒です。
デンマークからのゲストは男性は初めてで、性格とか調べるとシャイで温厚で時間を守り、我が道を行くタイプだそうで、ウガンダ人は穏やかでホスピタリティが強く誠実だとあり、相性がいいんだなと思うのです。娘さんは可愛くてしっかりしていて日本のアニメが大好きで、UKのコスプレで鬼滅の刃の禰津子の恰好をした写メを見せてくれたのですが、かなり小柄でふっくらしているのでピンクの振袖を頑張って着せ、長身のママは黄色が好きだというけれど赤の単衣に赤い帯を締め、帯締めにもヘアにもこだわり、なかなか頑固で苦戦しました。
パパは早々ベージュの浴衣を選び、みんなを見守っているのが微笑ましく、ネパールとウガンダで家族で撮った写真を先に送ってもらって見た時はびっくりしたのだけれど、肌の色のちがうカップルの結婚とか、その子供たちの複雑な葛藤とかいろいろ見てきていると、ティーセレモニーをした後、パパとママと夫が仲良く雑談をしているのを娘さんに浴衣を着せながら見ていて、こちら側とあちら側といろいろなものは違っているけれど、見える風景は同じなんだなとふと思うのです。暑くて柴又へは行かず、着物と浴衣と二回着て和室を見せ、最後にパパには浴衣と兵児帯、ママにはデニムのスカートと浴衣の端切れと手作りのバッグ、娘さんには綿の可愛い寝間着をプレゼントして、少し早めに終了しました。お寺や仏教彫刻や参道を見せなかったと私には悔いが残るのですが、この暑さはやはり異常で、無理をして行っても喜ばないし、正直なところ来年の夏はどうなるかわからないので、前に買った男物の浴衣もサイズが合うと差し上げています。
私の心身のメンテナンスをして下さる方が縫い物が好きで、義母の着物の端切れで素敵なバッグを作って下さったのをウガンダのママが気に入って持って帰り、喜んでいるのを見ていると、いろいろなものがつながってきていることを感じます。先日彼女がきて私の体のメンテナンスをしてる時に、私がこの仕事ができるのは守護霊に守られているからで、顔のあざも神様が下さった目じるしだよと言われ、ぴんとこなかったけれど、守護霊とは先祖霊だと知って納得しました。私は若い時から神奈川の父の田舎が好きで、時々遊びに行ったり、お墓参りも母が亡くなるまでは2時間半かけて良く行き、土葬されている父の両親のお墓にも手を合わせて拝んでいました。結婚してからは八柱霊園のお墓に行事ごとに通い、仏壇を綺麗にしているのも、すべて私が守られているという証だった、はた目から見れば何不自由ない暮らしをしているように見えたのに、内面は葛藤と苦しみが多くて病気もずいぶんしたのは、それがあったからこそ今いろいろな国のゲストの気持ちを知ろうと努力していることにつながる、着物を着て日本文化を味わうことが彼らの新しい感情を解きほぐし、少しの時間でも癒しになりギフトになるようにと思えるのだと彼女は言いながら、私の顔のあざを撫で、「ハート形だね、桜見たい」とつぶやくのです。
ウガンダで暮らす彼らは自然を愛し、ガーデニングを愛し、家族を愛し、同じ方向を見ている、だからこんなに風景に同化しているのでしょう。同じ風景を見て綺麗だねと言えること、同じ方向を見ていられること、心が平穏でいられる幸せは、すべてにこだわらず、自分の中のものを抽出して何かを作り出し見せることで、相手が心からほっとできる瞬間を感じてもらえることなのかもしれません。守護霊、先祖霊、そうなのでした。
娘が明太子を送ってくれました。お米も手に入ったので焼いておにぎりを作って食べたら美味しいので、一人暮らしの電器屋のおじちゃんにおすそ分けしたら、今晩の酒のつまみにすると言ってくれました。暑いさなか一生懸命働いて、夜のビールが美味しい、そのつまみになれる次女夫婦の明太子のプレゼント、やっぱり神様は同じ方向を見せて下さっているのです。