YouTubeサーフィンをしていて、偶然見つけた74歳の九州に住む女性の語り口や動画がインパクトが強くてずっと見るようになりました。国際結婚をして海外で暮らす子育て中のママや、発達障害の子供を育てるリアルな動画、果ては90代の祖父母の面倒を見る孫のYouTubeなど、本当に様々なものがあるのですが、今回見つけた動画のマダムは明らかに育ちが違くて、心理学を学びそれで仕事をしていて、移転してきた先で内科医の旦那様が急逝し、残された愛犬と心や体を懸命に立て直しているのです。娘さんはいるけれど孫はいない、彼女は孤独の何たるかを知っていて、最後までそれを貫こうと決め、支えになるのは知性と教養と前向きな姿勢と、そして亡くなられた旦那様への限りない愛なのです。下戸の旦那様に対してお酒好きの男前の奥様は、苦しみ抜いた末に食欲も回復し、毎日の晩酌のための料理や、ご近所さまから戴く差し入れのお返しにケーキを作ったり、ガーデニングをしたり、しっかりおしゃれをして古いベンツを運転し、日々をしっかり過ごしているその姿に、わたしたちは敬意を抱き、生きるということへの励ましを受け取ります。
ユングやボーボワールなどふと出てきて、この方の引き出しは数限りなくあるのだなと感心しつつ、群れず染まらず孤高を貫けるという体幹の強さがないと、足元の裂け目がだんだん広がっている今の危険な情勢を抜け出すことが出来ないと感じています。準備をする。兵糧を蓄える。戦える姿勢を整える。武器を揃える。戦国時代のようです。私を支えているのは沢山の着物たち、そして今回は沢山の美しい帯揚げたちを、何らかの形で活かして使って下さる方にさし上げています。日本人の着付け、外国人の着付け、正当に綺麗に品よく着付けるのを目指してきたけれど、このきな臭い世の中、そしてニーズも外国人の資質もずれて来た今、またまた私のところにやって来た着物たちの魂をどうやって発露させていくか、それがこれからの使命だと思うのです。ウガンダの家族、南アフリカのデザイナーさん、何らかの形で使いこなし発展させていく、新しい着物の見せ方には、物語やポリシーや主張がないとだめだと思うのだけれど、手に取ってきてもらうことがない着物が、今回頂いた豪華な半襟や帯揚げなどで新しい変身を遂げることが出来るのではないかと思うし、着てもらえる人がいないのなら、わたしがどうにか纏って見ようかとも思うのです。
着物たちの新しい第三章を始める時が来たようです。着物に対する愛の本質、精神をもう一度見直します。
古稀を迎えてやっとわかったことは、人間として生まれた私たちにとって、一番大切な事は、人生の目的をはっきりと見出して生きていくことだということです。お釈迦様の言葉を借りれば、智慧の眼を開き、慈悲の心を持ってみんなの幸せを願い、皆と共に救われることが、私達の使命であり、目的なのです。心が安らかになる。安心を得る。生きていく上での不安や迷い、怒りは心の病をひきおこします。自分が正しい、自分の思うようにしたいと願って苦しむなら、それらを思い切ってポーンと投げ捨て、心を柔軟にして現実を素直に受け止め、迷いや欲を捨てて自然のままに生きる。一階が来年使えなくなり、二階の部屋でエアビーの体験をすることが出来るのか不安なら、それにこだわる必要もないのでしょう。いろいろなことが変わっていくことが楽しみでもあります。考えて、吟味して、新しいステージを作ります。